気まぐれなももぽえむ

気まぐれなももぽえむです。

SAPデータアーカイブについて

このブログにはほとんど関係のない話ですが、
仕事柄よく使うので、ちょっとだけ書いてみます。

SAP導入企業が長年ERPを運用していると、
伝票類やマスタ、通信データなどが少しずつ溜まってきます。
するとデータベースが肥大化していき、やがてパフォーマンスや
ディスク領域を圧迫して運用に影響を与えるようになってきます。
伝票検索、レポート処理のレスポンス悪化、
そして、日次バッチジョブの長時間化などが起こるようになってきます。
データベースの特性からして、日常運用で気付くころには、
既にかなり悪化した状態になっていることが多いようです。
データベースの圧縮や索引再編成などを行っても一時的なもので、
データ数を減らすものではないため、やがて問題となる頻度が増えてきます。

10年以上前のデータは、業務的はもちろん法的にもまったく必要のない
データとなりますので、要らないデータは消してしまったほうが良いでしょう。

それらをデータベースから消してしまうことを
SAP用語(?)で「アーカイブする」と言います。

SAPには標準でアーカイブする仕組みが用意されています。
さらに言うと、「アーカイブ」した伝票は、単に消すのではなく、
外部にファイルにアクセスできる形で保存しておくことができます。
つまり、消してしまうのではなく「データベースから追い出す」というのが
正しい表現になります。
必要な時には、ファイルから検索して元の形で表示させることができる
仕組みとなっています。
アーカイブ対象(オブジェクト)によって見え方が違います。
※そのままの形で表示できるものと
※内部情報(テーブル項目)の照会程度しかできないものがあります。

そのままの形で表示できるものの例
 財務会計伝票、販売伝票、請求伝票、購買発注伝票、など
テーブル項目の羅列のようにしか表示できないものの例
 マスタ系(品目、得意先、仕入先など)、管理会計伝票、など

元の形で表示できることから、10年を待たずしてアーカイブしてしまっても、
税法、会社法などの法令的にも問題はありません。
※特に税法上は、SAP ERPの大福帳が守られているため、現実には取引終了後
 一か月程度でアーカイブしてしまっている会社もあります。

また、伝票番号や各種コード類の番号が枯渇することが問題になることも
あります。SAPではそのほとんどの番号体系が10桁で定義されています。
年度ごとにその番号がリセットされるものはあまり問題になりませんが、
通年で使用されている場合(特に販売伝票や購買伝票などはさらに10桁の上位数桁を
伝票タイプなどで固定している場合)は数年で枯渇してしまうことになります。
これらもアーカイブすると消えた番号を再利用できるようになるため、
アーカイブすることで、枯渇問題を起こりにくくすることができます。

しかしこれを使うにはそれなりの知識と経験が必要ですが、
意外とその知識と経験を持っている人材が居ません。

では、どうすればよいでしょう。
やはりアーカイブに関する知識や経験を持った企業や人材を探して
やってもらうのが一番良い方法です。

そうです、私がその経験者です。
もう5年以上もSAPのデータアーカイブばかりやってます。
設計から実装、運用、保守、ソリューション移行まですべて経験済みです。

各種伝票、マスタ類、通信データなどはデータアーカイブと言います。
データアーカイブの他にプリントリストアーカイブ、イメージアーカイブなどが
ありますが、詳しくは書きませんが、これらは溜まったデータを消すのとは
ちょっと毛色が違っています。
また、ERP以外にCRM,BWなどにも同様のアーカイブ機能が実装されています。

必要なアドバイス等、お役に立てることがあるかもしれません。
ご質問やご要望などがありましたら、
こちらのコメントに内緒マークを付けて投稿してください。

SAPデータアーカイブは、万能ではありません。
一度アーカイブしたものは元に戻すことはできません。
一部リロードする機能が実装されているものが残ってはいますが、
アーカイブしてデータベースから削除してしまうと、
元に戻すことは考えてはいけないものです。
※これについては、考えてみれば簡単に推測できますが、
 伝票を削除するとその番号を再利用できるということを
 考えただけでもそこに戻すということがどういうことなのかで
 無理なことが想像できると思います。

それからもう一点の弱点は、
これから近い将来S/4 HANAに移行することを考えているなら
今からアーカイブをすることはするべきではありません。
なぜならば、S/4 HANAでは別な考え方(SAPデータエイジング)が
作られる計画になっているからです。
SAP HANAでは、データベース中のデータは全てメモリー上に配置する
という概念となっており、データエイジングは、普段使わない領域に
追いやってしまうだけの機能を言います。
つまり、HANAではまったく違う概念となるため、
データアーカイブは過去の異物となってしまうことになります。
※とは言っても、互換機能の保存により、過去にアーカイブした伝票が見えなく
 なってしまうわけではないようです(私は未検証です)。